2011-12-31

Die Landschaft und ihre Kinder ( 2 )

NonesuchやOcolaといったレーベルから出ていたガムランのLPを集め始めた80年代初頭、ニューウェーブやオルタナティブのレコードを買い漁る一方で、ガムランと共によく聴いたのが Jon Hassellだった。

Jon Hassellは、Enoとのコラボである Fourth World, Vol. 1: Possible Musics(1980)が有名だが、その後も、サンプリング・ループによる呪術的リズムにHassell の特異な奏法のトランペットが共鳴する、仮想民族音楽的作品を連続してリリースしている。

Dream Theory in Malaya (1981)




















Aka / Darbari / Java : Magic Realism (1983)




















この2作は 前作を踏襲しつつ、よりアブストラクトな民族音楽色を強めている。直接バリを想起させる内容とは言えないが、 Aka/Darbari/Java : Magic Realismではガムランのサンプリングが効果的にコラージュされ、カバー・アートもバリをモチーフにしている。

カバー・アートは両方とも、Miles DavisのBitches BrewやSantanaのAbraxasのジャケットでも有名な Mati Klarweinの作品で、原画の制作年から推察すると、これらのアルバムのジャケットとして依頼を受け、描かれたものだろう。

原画:Alexander's Dream (1980)

ペンジョール(竹を使った飾り)や市松模様の布(聖性を示すデザイン)、畦にあるデウィ・スリ(農耕神)を祀る祠などから、バリの農村のコスモロジーがモチーフであることは一目瞭然。













原画:Soundscape (1982)

このライステラス(棚田)は必ずしもバリとは特定できないが、地形的ダイナミズムや前作との繋がり・内容から、どうしてもバリ島中部のライステラスを想起してしまう。まあ、その当時はまだ実際には行ってないわけだが、バリ=ライステラスという情報はどこからか仕入れていたわけである。






ちなみにこちらは昨年行った際のジャティルウィ(バリ島中西部)のライステラス




















この頃、有名なガムラン・グループ 「Tirta Sari 」が初来日。公演には行けなかったが、すぐにNHKでTV放映され、ここで初めて舞踏とセットのガムランの凄さを目の当たりにして衝撃を受ける。また当時はミュージシャンがこぞってバリ島に向かった時期でもあった。そんな影響もあって、私のバリ島通いが始まった。




2011-12-30

Die Landschaft und ihre Kinder ( 1 )

私がバリ島に通い始めてもう25年。そのきっかけになったのが、ロシア生まれのドイツ人アーティスト、Walter Spiesの「Die Landschaft und ihre Kinder」(風景と子供たち)という絵だった。

80年代初頭、たまたま見かけたこの絵に大いに心惹かれたのは、「ジャワの東」「4時の悪魔」などの映画、マジック・ランタンで見た「ジャングル・ブック」など、熱帯を舞台にした物語の影響があったように思う。ジャングル・光と影・火山島といったターム、神秘的でマジカルな空気感・・・。この作品には幼い頃に刷り込まれた熱帯への憧れが具現化されていて、私にとってはこの作品=バリ島のイメージだった。

この絵自体も、1930年代を通じてバリに住んだSpiesが、太平洋戦争中に敵性外国人として収監されたスマトラ島の強制収容所で、当時の自宅兼アトリエがあったバリ島中部のイセ村を思い浮かべて描いたもの。農夫と深いジャングル、遠くに霞む霊峰アグン山やライステラスなど、彼なりのバリ島のイメージが詰まっている。


彼の生涯については下記の書籍に詳しい。

・バリ、夢の景色 ヴァルター・シュピース伝 坂野 徳隆著 (文遊社 2004)

・バリ島芸術をつくった男―ヴァルター・シュピースの魔術的人生 伊藤 俊治著 (平凡社 2002)






・ジオラマ論―「博物館」から「南島」へ 伊藤 俊治著 (リブロポート 1986)

Walter Spiesについて多少なりとも掘り下げたのは、日本ではこの本が恐らく最初。鮮烈なグラフィックとともに、昔のバリの写真が印象的だった。著者はこの後、Spiesの足跡を追ったテレビ番組を監修し、出演もしている。オランダの熱帯博物館はいつか行ってみたい場所のひとつ。





・フィールドからの手紙 M.ミード著 畑中 幸子訳 (岩波書店 1984)

書簡集なので、1930年代のバリの様子が文化人類学的論考ではなく平易な表現で紹介されている。バリに憑かれたコリン・マクフィーやミゲル・コバルビアスとはまた違った目線が面白い。バリ滞在時に世話になったWalter Spiesや彼の周りのサロンに関する記述もある。





・スネークマンショー 核シェルターブック(カセットブック・角川書店 1983)

インディージョーンズばりの扮装をした伊武雅刀による、バリを舞台にしたお宝探し企画。後年、実際に行った際にヒントの場所を探したけど見つからず。結局、謎を解いてお宝を発見した人はいたのだろうか・・・。カセットの方にもバリネタあり。





・野ウサギの走り 中沢 新一著 (思潮社 1986)

チベット密教のグルに直接学んだフィールドワークの次に、バリでもバリアン(シャーマン)に師事。バリ人の世界観や文化の中に限って言えば、この世のものならぬ力の存在は全く当たり前のことなので、サヌール上空でのブラック×ホワイトの戦い、ドイツ人研究者の謎の失踪など、ブラック・マジックに関する記述が読み物としては面白い。





裸のラリーズ Gallery:1982年10月2日 慶応大学日吉校舎 photo : Aquirax





裸のラリーズ Gallery:Gallery Aquilha 4





裸のラリーズ Gallery:1979年10月27日 法政大学


裸のラリーズ Gallery:1977年7月22日 日仏会館


裸のラリーズ Gallery:1976年10月16日 日比谷野外音楽堂


裸のラリーズ Gallery:1976年1月17日 法政大学


裸のラリーズ Gallery:1982年10月1日 鹿鳴館


裸のラリーズ Gallery:「The Rock Photography」(サンデー社 1979年)撮影:迫水正一


裸のラリーズ Gallery:1976年1月17日 法政大学 photo : 片山智(NORD)











裸のラリーズ Gallery:1977年3月12日 立川社会教育会館


裸のラリーズ Gallery:1973年3月4日 武蔵野公会堂



裸のラリーズ Gallery:1983年11月10日 横浜国大





裸のラリーズ Gallery:Heaven, No.6 (1980)







裸のラリーズ Gallery:1996年10月4日


裸のラリーズ Gallery:1979年10月27日 法政大学


裸のラリーズ Gallery:1978年11月1日 青山ベルコモンズ