2013-05-27

The Sign of Four / Hammer, Anvil, Stirrup (2013)

電子音やらヴィヴラフォン、シタールなんかがびゅんびゅん飛び交う辺境ジャズファンク。
左右のチャンネルに極端に振ったりするミックスも併せて60年代サイケ感たっぷり。曲によってはAEoCを思わせるマジメなところも見せたりして、意外に芸達者。

2013-05-26

Yatha Bhuta Jazz Combo / ST (2013)

ビート世代のフランス人プロデューサーによる70年代のブラック・ジャズへのオマージュ。Lonnie Liston SmithからPharoah Sanders、Alice Coltrane、Sun Raあたりのイメージをうまく摘んでこね合わせ、スピリチュアル・コズミック・アフリカンなジャズの出来上がり。妙に聴きやすいところに物足りなさは残るんだけど、かなり良い出来。

2013-05-19

No Joy / Wait To Pleasure (2013)

カナダの女性2人組のセカンド。まあよくあるドリーム・ポップ系シューゲイズなんだけど、結構バラエティに富んだ構成で、甘すぎないメロディーと轟音度のバランスの取り具合が良い。あとギターのトーンも好み。

2013-05-18

Motion Sickness Of Time Travel / Nova Scotian Arms "Crystal Anniversary" (2011)

Rachel Evans (MSOTT)とGrant (NSA)のお馴染みアンビエント夫婦それぞれのユニットによるスプリット。
うねるオルガン・ドローンとエンジェリック・ヴォイスのMSOTT、まるでHeavenly Music CorporationなNSA、いずれも天上度メーター振り切れっぱなしの1枚。

2013-05-12

Gravetemple / Ambient / Ruin (2008)

Stephen O'Malleyも加わっているSunn O)))のサイドプロジェクトの再発。ドローンメタルといってもそれほど禍々しさもメタルっぽさもなく、抑制された轟音が渦巻くダーク・アンビエントって感じ。

2013-05-06

Burnt Friedman & Jaki Liebezeit / Secret Rhythms 5 (2013)

シリーズ5作目。Burnt Friedmanの最近の一連のソロを含め、これほどJaki のドラム&パーカッション・ワークが大活躍する作品が聴けるのは嬉しい限り。特にこのシリーズは貫禄でJakiが主役。
内容は今まで通り、多国籍&多次元のリズムが連環して行く、目眩くパーカッション絵巻。

2013-05-04

Keiji Haino, Jim O'Rourke. Oren Ambarchi / Now While It's Still Warm Let Us Pour in All the Mystery (2013)

Imikuzushi と同じメンツの2012年1月六本木のライブ。こちらは歌重視の構成で、ソロ・ヴォイス+ドローンもあり。さすがに昔の様なハイトーンは出てないけど、そこは年の功でカバー。
全開で走り続けるこの人も、頑なに引き籠もり続けるあの人も、団塊世代は頑固で逞しくて羨ましい。

2013-05-03

Alan Licht / Four Years Older (2013)

ニューヨークの強者アヴァン・ギタリストのソロでは4年振りの作品。1曲目はテーブル・ギターとコラージュによる短いパッセージを重ねていく、アグレッシブな曲。2曲目はエフェクトを変えながら弾きまくる、太いギター1本のストロング・スタイル。Loren Connorsとのコラボも良かったけど、このソロもなかなか。

2013-04-28

Lilacs & Champagne / Danish & Blue (2013)

ポートランドの二人組ユニット。一言で言えば、ストレンジでちょっとザラついたダウンテンポなんだけど、どことなくエレクトロ・パンクな出自が垣間見える感じ。
ファンクやジャズ系のコラージュにギター・ドローンを被せたりするあたりは、結構新鮮で気持ちよかったりする。

2013-04-27

Barn Owl / V (2013)

Evan CaminitiとJon Porrasによるユニット。かなり早いペースでリリースが続く5作目も、荒涼とした大地を吹きすさぶ風の様な、ファズとエレクトロニクス、民族楽器によるドローン。なんとなく秘教的な響きがサイケデリックで、まあどれを聴いても基本的に同じと言えば同じなんだけど、個人的にはハズレが無いのでつい買ってしまう。

2013-04-22

Eleh / Retreat, Return, Repose (2013)

Web限定通販でしか手に入らなかった3作をまとめた3CDセット。共振するパルス、無骨な手触りのミニマル、鉱物質な低音ドローン。聴けば聴くほどじんわり効いてくる、どれもワン&オンリーでハイエンドな音響。

2013-04-21

Panda Riot / Northern Automatic Music (2013)

ツボを押さえたバースト感と、ポップなメロディーのバランスが良いキラキラ系シューゲイザー。最近よくあるパターンの拙く危うい感じ女性ヴォーカルもうまくはまってるけど、あと一歩何かが足りないような。

2013-04-20

Mountains / Centralia (2013)

エレクトロニックな作風にシフトにした前作から、本来のナチュラル&アコースティックな響きに幾分回帰した印象。相変わらず暖かな陽光を思わせる、丁寧に織り上げられたアンビエント・ドローン。

2013-04-16

Black Pus / All My Relations (2013)

この高速で叩きまくり暴れまくるジャンクさはどこかで聴いたなー、と思ったら Lightning Boltのドラムの人のソロ・プロジェクトだった。基本的に本体と同じでエクストリームとしか言えない音だけど、それなりにバリエーションがあって聴かせる。Bill Laswellをぐちゃぐちゃにした感じのベースが良い。

2013-04-15

Miles / Faint Hearted (2013)

昨今のダブテクノ〜インダストリアル系の中では最強の音響かも。鈍器の破壊力。Andy Stott周辺の人だけど違った意味で新しい。

2013-04-14

Boduf Songs / Burnt Up on Re-Entry (2013)

Mathew Sweet のプロジェクト Boduf Songsの5作目。囁き系ヴォイスのダークなサイケ・フォークを核にエレクトロニクスやフィールド・ノイズが蠢き、時に轟音系ギターが切り込むかと思えば、端整なビートが現れては消えていく。
なんとも捉え所が無いけど、メロディーも良いし、この手の中では一際完成度が高い。

2013-04-09

Powerdove / Do You Burn? (2013)

アメリカ人シンガー・ソングライターでマルチ・インストゥルメンタリスト、Annie Lewandowskiのソロ・プロジェクト。エクスペリメンタル・フォークをベースに時にフリーキー、時にトライバルだったりでかなり自由。でも歌声は実に素直で、聴いてて妙に落ち着く。

2013-04-08

Implodes / Recurring Dream (2013)

Krankyからのリリースされたシカゴの4ピース・バンド。基本シューゲイズだけど、ガレージっぽさやミニマルな展開があってサイケ寄り。ドローンもあるけど耽美系じゃないのが良い。

2013-04-07

Benjamin Damage / Heliosphere (2013)

ボトムがかなり太くて刺激的なテックベース系。Basic Channel的なところも。でもアルバムなので曲が短いところが難点。

2013-04-01

Apparat / Krieg und Frieden (Music For Theatre) 2013

ドイツのエレクトロニック・ ユニット、Apparatの3作目は「戦争と平和」の舞台用サウンドトラックとして制作した楽曲を更に作り込んだもの。
今日的なエレクトロニクスとノイズ、ピアノ、ストリングス、時に声を織り交ぜ、題材から想像するよりは抑制的だけど、陰影のある絵画的な作品。

2013-03-31

Qluster / Lauschen (2013)

Roedeliusを中心に3人組となった今回も、アンビエント色の強い、現代的なエレクトロニック音響。Moebiusの不在が物足りない気もするけど、アブストラクトな面もあって、Cluster後期と較べてそんなに違和感は無い。若い人と組んでも、あ、これはRoedeliusの音、と分かる。

2013-03-26

William Basinski + Richard Chartier / Aurora Liminalis (2013)

コラボ2作目。Basinskiのソロのようなループ的な要素はあまりなく、オーロラが高空をたなびいている様な抑えたドローンが続く。終盤は、太陽風が地球磁場にぶつかって励起され、発光する様子を表現した様な音響に次第に表情を変えて行く様が美しい。

2013-03-24

Electric Electric / Discipline (2012)

エッジの立ったギターと生ドラムのパーカッシブなリズムが疾走するバンドサウンドに、抜き身のエレクトロニクスが切り込む。スタイルは80年代からあるタイプだけど、ポストロック的な展開を中心に、荒いインプロやアブストラクトなループを放り込んでくる辺りが新しい。
でもちょっと強度不足かな。

2013-03-23

Voigt & Voigt / Die Zauberhafte Welt der Anderen (2013)

普段は別個に活動しているケルンのハード・テクノ兄弟のプロジェクト。テクノ的な展開はあまりなくて、インダストリアル、アンビエント、ドローン、時に辺境的なループを使った多彩な切り口で、いかにもジャーマンなエレクトロニック・ミュージックを紡ぐ。
ほ〜、CVなわけね、という感じの"Akira Mantra (26:31)" が最高。

2013-03-21

Jonathan Kane / Jet Ear Party (2013)

Chathamなんかにも通じる、ゆったりとしたスワンプ〜ジャム系のインスト・ミニマル・ロック。乾いた音とギミック無しのストレートさが豪快で潔い。

2013-03-20

Ital Tek / Hyper Real (2013)

DubstepじゃなくてJukeなリズムにキレイめのメロディーとアルペジオ多用の上モノがよく合う、なんかすっきりした印象の新作。相変わらずリスニング用途としては極上の部類だけど、表題曲のリミックスが一番かっこ良かったりして。

2013-03-16

Mop Mop / Isle of Magic (2013)

Andrea Beniniを中心にしたヴードゥー・クラブジャズ・コンボ。Juju Orchestraみたいな暗黒さもあるけど、そこはやはりイタロ・クラブ・シーンの人なので、エキゾチック&ボトムの太いアフロ・ファンクな仕上がり。Lonnie Liston Smithっぽいモーダルな曲もまた良し。

2013-03-10

Maxmillion Dunbar / House of Woo (2013)

ラウンジ寄りのアンビエント・ハウス。パッド系の音が多くて小綺麗な仕上がりだけど、リズムはあまりキープしないし、ランダムにループが垂れ流されるアブストラクトな空間が随所に仕込まれていて、中々良いバランス。

2013-03-05

Hakobune / Watching the Prescribed Burn (2013)

かつての吉村弘をはじめとして、日本人アンビエント・アーティストの作品は繊細でレベルの高いものが多く、Hakobuneも然り。多作な人だけど、今回も安心の自然回帰系アンビエント・ドローン。

2013-02-27

Papir / Papir III (2013)

デンマークのインプロ・サイケデリック・トリオの3作目。前作と同じく、ゆったりと天翔る様な、でもボトムは結構太い、陽性のサイケ感が眩しいストロング・スタイル。特に、Hallogalloっぽいイントロから次第にバーストしていく5曲目が最高。

2013-02-26

Pixel / Mantle (2013)

一連のRaster-Notonの作品同様、パルス、グリッチ、ホワイトノイズ、共振音のみで構成された還元主義的テクノ音響。Byetone なんかよりもっと削ぎ落とした感じだけど、余計な音が無い分、ビートが際立つ。

2013-02-25

Endless Boogie / Long Island (2013)

NYのバンドの3作目。ちょっと聴くと、ジャケやバンド名からイメージするオールド・スタイルな想定内の音なんだけど、やたら長尺な曲を聴くうちに、これが結構侮れないことに気づく。リフ主体の分かりやすいブルース・サイケと、お約束な大仰さが殆ど無い、淡々としたミニマルな展開との相性が意外に良く、やたら渋い。

2013-02-24

Bitchin Bajas / Vibraquatic (2012)

Moon Duoとのスプリットも出している、Caveのメンバーのソロ・プロジェクト。Terry Riley の Shri Camelっぽい目眩くシンセ曼荼羅に、クラウトロックなコズミック感が加わった様なサイケデリック・アンビエント。サックスのループやテクノ・ラーガなどの意外性のある仕掛けも楽しい。

2013-02-23

Stephen O'Malley & Steve Noble / St. Francis Duo (2012)

ドラムス&パーカッションのSteve Nobleとのデュオ・ライブ。二人とも手数も多いが、多彩なテクニックと巧みな緩急で冗長さが無く、4つのパートとも緊張感に溢れる。基本インプロだけど、ジャズの要素も○○○的なところも無い、ロックのDNAがギュッと詰まったダイナミックな1枚。

2013-02-18

Cyclopean / ST (2013)



Jaki Liebezeit、Irmin Schmidt、Bernd FriedmannとJono Podmoreから成る新ユニット。方向性としてはBernd Friedmannの最近のソロやLiebezeit & Friedmannに近いけど、若干ストレートでリニアな音。Spoonからのリリースだし、メンバー的にもこれってCanのリユニオン?って感じだけど、そういう先入観で聴くとちょっと違うような気もする。

2013-02-17

Anthroprophh / ST (2013)

Paul Allen(The Heads のリードギター)のソロ。トライバルなパーカッションやドローン、ミニマルなリフに乗せて、轟音系・フィードバック系のギター、時にエレクトロニクスがのたうつ。高音圧で暴れまくるタイプじゃなく、ちょっと抑えたシャーマニックな雰囲気もあって、なんとなくAgtation Freeを思わせるところもある。

2013-02-13

Föllakzoid / II (2013)

チリのサンティアゴで活動する若手サイケバンドの2作目。デビューEPに続いて、Neu!とCanとMoon Duoがごちゃ混ぜになったハンマービート・サイケなのは相変わらずだけど、今作はもう少し幅が広がってスケールアップ。ギターが暴れまくるTago Magoって感じでかっこいい。

2013-02-12

Psychic Ills / One Track Mind (2013)

個人的にはなんか苦手だったPsychic Illsの最新作。前に聴いたMoon Duoとのスプリットの曲の様な、鬱々とした世界からガラッと変わってテキサス・サイケの流れをくむ、乾いたサイケデリアになっていてびっくり。ロックンロール度の高いこの路線の方が好みだなー。

2013-02-07

Monopoly Child Star Searchers / The Garnet Toucan (2012)

チープなシンセが大活躍するモンドなトライバル・ドローンというスタイルはそのままに、前作の"Bamboo For Two"と較べると、より怪しい密林風味を効かせた今作。やさぐれたマーティン・デニーの"Exotic Moog"って感じ。

2013-02-05

Burnt Friedman / Zokuhen (2012)

前作のBokobokoの文字通りZokuhen的な内容の、ポリリズミック・ビーツ・アンサンブル。アフロとかトライバルっていうタームを軽く飛び越えたハネるビートは一見軽めだけど、驚くほど複雑な構造。ホルガー抜きのCanの、正統的進化っていう気もする。

2013-01-29

Tussle / Tempest (2012)

人力によるテクノ・フォーマットのダブ/ファンク。ツイン・ドラムのバンド編成の割には汗臭さが全くないのはJD Twitch(Optimo)のプロデュースによるものなんだろうけど、4/4のビートがオーガニックで切れが良い。コズミックな上モノとのバランスも良し。

2013-01-28

Ulrich Schnauss / A Long Way to Fall (2012)

エレクトロ・シューゲイザーという先入観で聴くと、トーンが大人しめで物足りないし耽美さにも欠け、ちょっと単調。アンビエント用途にはエッジが立ち過ぎてるし、立ち位置がよく分からない。
と言う訳で、しばらく寝かせておいてみようかな。

2013-01-27

Traditional Fools / ST (2008)

Ty Segallが在籍していたという、カリフォルニアのサーフパンク・トリオのデビュー作の再発。熱量のある腰の据わった音でかっこいい。録音の荒さもあってか、あの頃のパンクな空気が伝わってくる。若いんだろうけど。Foolsじゃなくてラピス時代のフリクションをロフトで見てるみたい、と言っては言い過ぎか。

2013-01-26

Bare Wires / Idle Dreams (2012)

オークランドのサイケ・ポップ・トリオ。ペナペナのギターとキャッチーなメロディーで疾走する、ポップなガレージパンクって感じ。最初から最後まで突っ走るのかと思ったら、曲によってはT-Rexっぽいグラムな仕掛けもあって、なかなか芸が細かい。

2013-01-23

Cut Hands / Black Mamba (2012)

WhitehouseのWilliam Bennettのソロ・アルバム。シングルの"Afro Noise 1"の様なDubstep寄りのインダストリアルノイズ・アフロな曲に加えて、シャーマニックなドローンがますます暗黒大陸な雰囲気。

2013-01-16

Benjamin Brunn / A Sun Life (2012)

アシッド、シカゴ、エレクトロなどの断片をこれでもか、というくらい詰め込み、痒いところにも手の届く手の込んだプロダクションでアンビエントに仕上げた、モダン・エレクトロニック・アンサンブル。

2013-01-13

William Basinski / The Disintegration Loops (2012)

表題のドローン4部作を9枚組LPと5枚組CD(LPとCDは同内容)に収録、おまけにDVDとブックレットが付いたボックスセット。お馴染みのテープ・ループの減衰という表現方法で殆ど同じテーマが反復されるこのシリーズは、"Vivian & Ondine"や"Watermusic"とかと較べると幾分シンプルなだけに、全編6時間弱を続けて聴いているとさすがにお腹いっぱいになる。でもやっぱりテープ・ループ好きな人はマストでしょう。

2013-01-11

Goat / World Music (2012)

スウェーデンの辺境サイケ。Zeppelin のKashmirのアンサンブルとエキゾチシズムを押し進めた様なヘビーな曲が中心だけど、Felaっぽいアフロ・グルーヴやBarn Owlを思わせるシャーマニックな曲もあったりして、デビュー作なのに結構芸が細かい。Goatheadとか Let it Bleedって曲があるけど、Stonesは関係なし。


2013-01-08

Raglani / Real Colors Of The Physical World (2012)

これもEmeralds人脈。アナログ・シンセの面白さって、独特の音の太さ以上にその冗長性にあるんだな〜、というのを再確認させてくれるエレクトロニック・サイケ絵巻。Cosmic Jokers・・・とはちょっと違うか。オマケの7inchが特に良い。

2013-01-07

Steve Hauschildt / Sequitur (2012)

Emeraldsのメンバーの1年ぶりのソロ。本家のジャーマン・エレクトロニクス指向に加えてこの人のテクノポップ嗜好が強調された作品で、ヴォコーダーやビンテージ・シンセを多用し、アトミック・デザインを思わせるやたら明るい音。ディストピアが日常となった今、ユートピアこそ新しいってことか。Kraftwerkと言うよりTelex的。