2011-12-29

裸のラリーズ:Words 【1981年11月6日 法政】

裸のラリーズ:Words 【1981年11月6日 法政】
 
  氷の炎

  砕け散った愛は 死んではいない
  愛し合う僕達に 痛みは残るけれど
  もう一度 堕ちて行こう 血の海に
  
  失うために闘うのではない
  疲れるために闘うのでもない
  
  安らぎとはなんだったのか
  失うために闘うのではない

  何にも解き明かせぬ 最初に訪れたもののように
  秘密がおまえを 生み出した
  鏡の向こうで おまえは生きる
  氷の炎が おまえを連れ去る

  夜、暗殺者の夜
 
  とても深い夜 まるで誰かを殺したみたい
  何が おまえの 飢えを満たす
  
  誰かがおまえを夢にみる だけどおまえは何をも夢みない
  何もおまえの飢えを満たしはしない

  沈黙の鳥は飛び去った 夜の言葉は溶け落ちた
  誰もおまえが留まることを 望んではいない

  おまえは夜更けに血の河をわたり 虚無の一滴をのみほした時
  おまえに最初である名前が 名づけられるだろう

  黒い恋人達は すべてが死にたえた岸辺にたどりつく
  すでに黒い烙印は きざみつけられた

  おまえは俺のきずぐち 俺は誰かを殺すだろう
  やさしい暗殺者の とても深い夜

  沈黙の鳥は飛び去った 夜の言葉は溶け落ちた
  誰もおまえが留まることを 望んではいない
  
  誰かがおまえを夢に見る だけどおまえは誰をも夢見ない
  何もおまえの飢えを満たしはしない
  何もおまえの飢えが満たされることを望んではいない
 
  とても深い夜 まるで誰かを殺したみたい
  何がおまえの飢えを満たす
  誰がおまえ飢えを満たす
  誰もおまえの飢えを満たしはしない

  
夜より深く

  夜よりも深く 闇よりも暗く
  おまえは目覚めたところ 死と狂気をものにした

  燃えあがる空の下で 黒い翼をひろげ
  おまえがのぞみなのさ 黒い太陽の昇ったあとは
  氷の炎の中で 幾たび出あうだろう
  真夜中の白い毒液 身体の中を白い馬が走る

  雨の中で息絶えた 飢えた獣は
  窓からとびたて おまえの鏡を打ち砕く
  囁きの天使が おまえを包み込み
  蒼き吐息を おまえの中心まで送り込む

  夜よりも深く 闇よりも暗く
  おまえはもう一度目覚めたところ
  死 俺は ものにした
  
  恋の物語

  これは美しい血まみれの恋の物語
  薔薇色の炎を俺が吹き消したとき
  始まった物語

  無条件の愛は残酷な愛
  夜が明ける前におまえとたち去る
  夜が明く前におまえとたち去る
  
  黒い悲しみのロマンセ

  こんな夜更けに誰を探して おまえはひとりでかけて行く
  水平線の向こうで待っている めくるめく輝きを
  あるいは自分自身を
  胸の中にひとつ曇りひとつない 水晶の湖を持っていた
  
  あなたは誰かと訊かれたら 俺は笑ってみせる
  ただ君のために なにもかもが 吹き荒れる風に
  波にのまれてしまわぬうちに
  ( ? ) 君の胸の中に 俺を刻みつける
  俺はだけど ( ?  ) もっと堕ちて行く
  
  ( ? ) 土地に暗黒の塔をたてた
  俺達の (白さ ?) が暗黒の塔をたてた

  俺は君の夢を (まもる?) ためにやってきた
  俺は君の夢に (なる?) ためにやってきた
  君の夢を 血で汚しはしなかった

  何もかもが 吹き荒れる風に
  波にのまれてしまわぬうちに

  こんな夜更けに 誰を探して おまえはひとりでかけて行く
  水平線の向こうで見えている めくるめく輝き
  あるいは自分自身を あるいはおまえ自身を

  造花の原野

  造花の原野の遙か彼方から 吹きつけてくる風よ
  ゆるすことを知らぬ力よ
  この地の果てまで燃えつくせ

  地の底から神話の奥底から わきおこってくる炎
  破壊とやさしさの炎
  この地の果てまで燃え尽くせ

  おまえのその目はガラス玉 もっと近づきゃ違って見える
  真っ赤な証しを教えてくれる

  目の前で砕け散る 砕け散って舞い上がる
  永遠みたいに砕け散る 砕け散って舞い上がる
  舞い上がって灰になる 永遠みたいに砕け散る
 
  The Last One

  心の裏側で 悦びに震え
  生きていることさえ忘れてしまった

  僕がひとりで歩くのは 誰もいない波の上
  もうどこにいても同じ 夜も昼も同じ

  おまえの唇は 土の香り
  冷たい風の中で おまえを抱いている



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