特集:東京ロッカーズ (恒松正敏)
■ GRAMOPHONE 1号(1990.2.12 インタビュー:UMEDA,OZAKI 国分寺 次男画廊にて)
■(恒松正敏のインタビュー部分を抜粋)
■ GRAMOPHONE 1号(1990.2.12 インタビュー:UMEDA,OZAKI 国分寺 次男画廊にて)
■(恒松正敏のインタビュー部分を抜粋)
(東京ロッカーズ以前の状況について) 恒松:ま、今みたいではなかったよね。バンドも少なかっただろうし、レコード出しても、日本のバンドなんてのは、数百枚位しか売れなかっただろうし、数百 枚売れれば売れた方みたいな。たまたま東京ロッカーズっていうシーンがちょっと盛り上がったっていうのはあったけど、それ以前にも同じようなことやってる 連中ってのはやっぱりいたわけね。うん。ブルース・クリエイションとか・・・。それでもほとんど売れてなかったけど。セールス的に。 (その頃の時代の空気は?) 恒松:難しいね・・・(笑)。だから、今の時代と比較してみると、やっぱり今の時代の方が浸透してるっていえばそうなんだけど、むしろ昔の方がスピリッツがあったのかな、と思うこともあるけどね。うん。 ま、今でも真剣にやってる奴は真剣にやってるだろうし。真剣っていうか、ほんと裸だったようなね、うん。今だってそういう連中、若い連中いるだろうけど、やっぱり大半はすごくファッションになっちゃってるっていう気はする。 (パンクとは?) 恒松:なんか、自然になったっていう感じかなあ。だからこう、それまでもバンドとかやってて、なんか表現しきれないものがあって。それで、あの頃ニュー ヨークの方の音とかね、聴いたとき、あ、これ、これだな、っていう。やられちゃったなっていう気持ちが半分みたいな。 ピストルズって、なんかに書いてあったかもしれないけど、やっぱり最初はどっちかって言ったらニューヨークの方聴いてたからね。どっちかって言ったら、やっぱりあっちの方が好さですね。 (例えば?) 恒松:リチヤード・へルとか、トム・ヴァ-レンとか。 (影響された?) 恒松:っていうことは、妙響されたんじゃないかね、うん。 (実際に見たことは?) 恒松:それはないんだよね。日本出たことないし。あ、でもトム・ヴァ-レインが何年か前来たよね。あん時行ったけどね。 (リチヤード・へルの来日) 恒松:あ、行こうかな、と思ってる。ストーンズは行かないけど。もう外タレなんかね、数年に一回しか行かない。 (今まで見た中で一番良かったのは?) 恒松:それはやっぱり、その時で違うからね。10代の時見たのと、20代と、30代とじゃね、こちらの受け止め方が違うから、その時その時で、ま、感動してるかなって。ツェッペリンが一番最初に来日した時とかも、感動したし。 (東京ロッカーズとは?) 恒松:ん-(笑)。ただこう、なんかちょっと否定的な見方だけど、あんまりくっついてても、いつまでもくっついててもしょうがないなあとは思ってたけどね。どっちかって言うと。 俺はね-、だからフリクションに入った時には一応東京ロッカーズっていう名称はなかったけれども、そういう動きはあったからねぇ、もう。 (その頃、人間的に面白かった人は)? 恒松:いやあ、やっぱり、レック、ヒゲ(笑)。うん。あとはね、まあ個人的な友達とかはいっぱいいるけどね。うん。結局、あれからもう10年経ってて、お 互いそれぞれ年とったけど、ヒゲが時々電話してきたりするけど、レックはこの間電話でちょっと話したけど、もうそれだって3年ぶりかそんなもんで、たまに しか話しないけど、やっぱり、なんていうかな。月並みな言い方だけど、人間的にも成長してってるな、とか、すごいわかるし。で、みんながんばってるで しょ。バンドで、めずらしいよね。外国にだってあんまりこういうケースはないんじゃないの。一緒にやってた3人が3人ともまだやってるっていう。たいが い、誰か一人残ってやってるけど、あとはもう、10年たつと、大体消えちゃってるからね。3人が3人ともやってるっていう、それは、俺はすごい誇りに思う なって、すごく思う。だから、そういう3人だったからこそ、やっぱりすごかったんだなあと。ま、だから長続きしなかったのかもしれないけど(笑)。 (今とライヴハウスの感じは違う?) 恒松:違うよね。佐藤ジンっていう写真家知ってる?あれが、2、3年前かな、写真展やってたのね。彼はそういう東京ロッカーズの頃からずっと写真撮り続け てて、それをずっと年代順に並べて、わりと最近のものなんかもこう、年代順に、ダーッと壁に並べた写真展があって、それ見に行って思ったんだけど。やっぱ り、ま、昔は良かったっていうんじゃないんだけど、あ、面白いな、と思ったのは、音の方がなんかごった煮的な面白さがあったな。たとえば、その5バンドっ ていうのがあるんだけど、今また長髪が流行ってるけど、おんなじバンドの中にね、長髪がいるんだけど一人はパンク頭してるしみたいな。だから、どっかなん か野暮ったさがあって、あるんだけど、もっとこう違う、それだけいろんな要素が混ざっててね、音楽的にも面白かったんだなあと。で、だんだん見てきて、時 代がこう、最近に近づくにつれて、みんな画一化していくんだよね。みんな、こう、おんなじポーズなんだよね。恰好も。だからそれを見るとね、あ-なるほど なあと思って見てて。 うん、だから、ハード・コアなんて何年か前ちょっと流行ったりして、俺は好きだったけど、そういう連中が5年ともいわす、3年後に何やってるかってそれが一番大事だっていう、ことかな、うん。 (当時の人間の感覚とか意識とかは?) 恒松:そうね、でも、基本的にはあんまり変わんないと思うけどね。表層だけが移り行くというか、そういう感じだね。だから、今バンドブームっていうのも、あともう10年も経てばまた、ま、残る奴は残るだろうし。 (リアルタイムでは聴けなかっただけに憧れが強い、というインタビュアーの発言に) 恒松:ま、それはわかるよね。例えば、一番最初に初めて洋楽聴いたのはビートルズだしね。それからまた70年代があって、それでパンクとかあるし。でも、 それって同価値なんだよね。で、それ以前の、例えば50年代の音楽もあるわけね。だから、俺はビ一トルズっていうのはリアルタイムで聴いたんだけど、で、 バンドとかやってる若い奴に話聞くと、「一番最初に聴いたのはピストルズです」なんて言われるとね-、俺達とは違うれかなぁと思うんだけど。それと同じ で、話がそれちゃったけど、俺にとってみたら、50年代の音楽っていうのは、後になって聴いたわけね。追体験した、それと同じことだと思う。それに対して の憧れっていうのはあるよね。50年代の音楽をリアルタイムで聴いたらどうだっただろうとかっていうのは。そういうのと同じなんじゃないの。 (後略) |
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