レック(フリクション)インタビュー 東京ロッカーズから10年、攻撃性はどう昇華されたのか
■インタビュアー増井修氏、ロッキンオン88年8月号
■(インタビュー記事からレックの発言を掲載)
■インタビュアー増井修氏、ロッキンオン88年8月号
■(インタビュー記事からレックの発言を掲載)
(スキンディープ以来の6年間について) 6年間ねえ、うーん、何だろうな。要するにレコード出したいとは思わなかったんだろうね。フリクションってバンドはあったんだけど、演奏してるって手答え がなかったからね。やっぱ、飽きちゃったというか。だから、俺は一緒に演奏してて手答えがある人を探してたからさ、特にそれはバンドというものじゃなかっ たんだよね。あのレコードだしたあとは、友達のミュージシャン集めてステージ立ってたんだけど、彼らは一生懸命やってくれてもそれ以上の必要なアイデアっ て出て来ないからね。だから、バンドのためにバンドをやるのに飽きちゃったというか。 あのね、それは音楽が楽しくなってきたからだよね、最近。で、演奏が楽しくなったのはギターを弾き始めたからで、俺、近藤等則のIMAバンドでギター弾いてるからさ。要するにプレイ、人と演奏するっていうのがどういうことなのか、そこで分かった気がするな。 (近藤さんとの出会いは) デカいだろうね。俺は近藤さんからやっぱ影響ていうのを受けてると思うし、俺は与えてると思うし、あのね、近藤さんの話になっちゃうけど、最初に観に行っ た時は『何だ、こりゃ』って思ったんだよね、俺、フリー・ジャズとかインプロビゼーションには全然興味なかったからさ。ただ、すごいエネルギーだなとは 思ったんだよね。一人で一時間なり二時間なりやっちゃうわけだから。 うん、だから俺は前のフリクションの時は音を尖らせることにずっと頭が行っていたんだよ。でも、最初に近藤さんと面通ししてジャムってる内に音が開かれて行くような気がしたんだよね。 というより飽きたんだよ。でもあの頃は、自分の感じるままにやって、それを楽しんでたからね。ただ、その頃は好きになるってことより憎むってことが大き かったな、色んなことを。ニューヨークから帰ってきたばっかりだったからね、なんで日本ってこうなの?っていうのがあって、それをどうにかしようってい う、そこで生まれるエネルギーを自分で楽しんでいたんだと思うんだ。 いや、怒りっていうのはあるんじゃない、どっかには。あの、俺はそれほどね変ってないとは思うんだけど、好きになることが増えたんじゃない?やっぱ物事って裏表だからね、片っぽだけ見ててもしょうがないし。 (ボーカル自体も変ったようだが) それも意識してやってるわけじゃないからね。ただ、やったらああなったってことなんだよね。まあ、10年経ってるしねえ。だって、今のバンドのドラムなんて俺が高校生の時はまだ赤ん坊だよ。 うん、でもね、扇動するって言ってもわかっちゃうんだよね、客には。あのー、愛がないと。ホントだよ。うん、ホントに。ステージ降りて、そいつが悩んでる 姿が歌ってる時に見えればいいけど、そうじゃなくてただバカにしてるだけっていうのは客に伝わっちゃうしね。 ショックを与える……うーん、俺はなんか演ってる側の人間の音が仲良くなりすぎちゃうのが嫌なんだよね。やっぱり、そういうのは音楽にマイナスになるで しょ。それに、リスナーとも変に馴れ合いたくないし。ホントに覚醒を促すならそれこそゲバ棒持ってっていう世界になるけどね、古いけど。だから、そこまで 大げさなことではないけど一人一人が音でケンカするぐらいの気がないと音楽って面白くなんないからね。 (フリクションは現在のシーンから遊離してるが、音楽環境をどう考えるか?) ……考えないね。だから、今BOOWYとか爆風スランプとか聴いてる子にどういう風にアピールして行くかってことでしょ。そういうことは……そうだね、も う少し考えれば良かったね。だけどね、俺は自分の作ったレコードすごくいいと思ってるからね。やっぱりそういう若い子達にショックになればいいと思うし ね。今わりとみんな面白がり方が一緒でしょ。だから、俺はこういう音楽が楽しいし面白いと思うから、それがみんなに伝わればいいというね。 いや、俺は昔から温厚なんだよ。だから昔はね、インタビューでも自分の中の攻撃性ってものを表に出して楽しんでいたんだよね。だけど、音楽に関しては丸くなったとか全然感じないからね。むしろ、広がったって感じるよ、音が。 (昔のファンが「なにが音楽の楽しさだ!馬鹿野郎」と言ったら?) 言われたって、色々形があるでしょ。それにそんな人はいないと思うんだよね。 言ったら。それが、人生だよ。俺の人生だよ。うん。 |
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