特集:東京ロッカーズ (Scherz Haruna)
■ GRAMOPHONE 1号(1990.3.6 インタビュー:UMEDA,OZAKI 吉祥寺ポアにて)
■ GRAMOPHONE 1号(1990.3.6 インタビュー:UMEDA,OZAKI 吉祥寺ポアにて)
H:東京ロッカーズって名前自体もさ、別にそういう名前があったわけじゃなくて、たまたま、ライヴを バラバラにやってたのをね、バラバラにやってるだけじゃ、こう、広まって行かないっていうことで、そういう仮のタイトルをつけて。ライヴの企画のタイトル みたいなもんだよね。仮にそれをつけてやったっていうのだけで別にバンド同士に協議があったとかっていうんじゃないから。ま、もちろん全くやな奴とはやり たくないっていうね、そういう皮膚感覚的な部分はあるけど。それ以上のものじゃないから。 だけど、それはそれとして、ともかく、いくつかのバンドが動いてきたっていうだけが、本当の事じゃないかな。で、そ、だから、具体的に言えば、そこに出 てる、多分、書いてあるようなバンドが動いてるよね多分ね。うん。それは結横、だから、向こうからの、ほとんど、同時進行というか、向こうで、パンクなん かが起きた時と、ほとんど間おいてないっていうか、リアルタイムで入って来たって感じはするよね。で、それは、後で、そん時は知らないけど、レックとヒゲ が、たまたまニューヨーク行って、向こうで、その、現に、バンド入ったりしたでしょ。なんかして、そこで、実際にもう、その時実際に起きたあのエネルギー とかいうのを、そっくりそのまま持って来てフリクションはスタートしてるし。もちろんその前に、あの、後で聞くと、みんなバンドの歴史って長いんだけど、 そこでやっぱり、なんかもうひとつプラスαが加わってこう、エネルギーが出てきた、っていうのはすごくあるような気がするね。だから、一言で言えばすごい エネルギーとスピードがあったよね。そのエネルギーとスピードに、見てる方も感動して、自分の中のエネルギーとスピードを出そうと思ったんだろうね多分。 だから、なんか、そういう風に感じたよね、自分は。 実際に、ま、それまで、全然ライヴハウスって行ったことないし、だけど単にやってる奴が、なんか演技、お芝居みたいに芝居をやって、こっちは見てるって いうんじゃない、なんか、いつでもここに座ってる人がそこへ立って、そのまま立っておかしくないっていう。で、実際そういう、さっきまで目の前でしゃべっ てた子が、次にね、バンドが足りなくなってチェンジしたりとかっていうのが、ごく自然にあったところで、何かこうさ、すごく、リラックス出来るっていう か、すごくリラックスして楽しめるっていう。それがとっかかりですかね、多分。あんなにリラックスして楽しめるところ、なかったからね。 ~~見だしたのはいつごろですか? H:え-とね、年度とかそういうのは知らない。忘れたけど、グラハム・パーカーとか来た次の日。ほんと。グラハム・パーカーが来たんだ、日本に。で、俺は それまでパンクってのは情報では知ってたけど、実物を見たことなくってね、そんとき新聞に前の日にグラハム・パーカーはパンクの父、と書いてあったからタ イトルが。パンクの父見ればパンクわかるだろうと行って、それで、つまんなかったのね。だけどつまんなかったけど、ん-、何か、いいところもちょこっとは あるかな-という感じはしたんだけどつまんなかった原因を考えたら、言葉がわかんないっていうような気がしたのね、詞みたいな。だから、そう思った、多 分、次の日にロフトで、フリクション、S-KEN、ミラーズ、とかなんか、リサードも出てたかな?その辺のバンドか出てるのがあって、あ、日本のバンド だったら、日本語分かるから、その全体がわかるだろうと思って行ったのが最初だったのね。でともかく、かっこよかったよ。かっこよかったとしか言いようが ないよ。 ~~やっぱりいちばん好きだったのはフリクションですか? H:っていうか、もちろん、バンドとしてもあるけど他にも好きなバンドいっぱいいたよ。バンドが好きっていうより何かその動いてる全体が好さだっていう か。別に後から思うと、別にその個々のバンドにね、何か共通点はないんだけど、だけど、その時は思い込みとして、こんなに、こんなに、いると。で、ふつう 表に出て来る音楽っていうのも、ずーっと音楽聴いてるから、70年、80年の音っていうのは、殆どカスみたいにしか思ってないから。その間聴きたいものが 全然ないと思い続けて、仕方なく古いロックンロールとか聴いてたけど。だけど、そういうのってダイレクトじゃないでしょ。こう、知識でしかないじゃない、 聴いてても。だけど、知識じゃないものとして今、動いてるっていう気持ちの良さっていうのが一番何かね、その思い込みで付き合っちゃったってとこもある。 やっぱり、通して言葉でしゃべれるようなものとしてね、バンドが残してきたものっていうのは、ま、レックはすごくインタビューでしゃべってるから活字に なってるけど、他のバンドは、そんなに自分の思ってることや考えってのを言葉にのるような形ではね、残してないような気がする。音楽についてはしゃべるけ ど。だけどやっぱり、なんかその-・・・・なんか、音楽だけじゃないんだよね。凄くその、プラスαの部分でなんかこう、もっと強いものをもってる。それは 確実にあったと思うよね。思い込みじゃなくてね。でも、それが、その後時間が経つ中で、自分自身の中で、それぞれの気持ちの中で、消えちゃったりしてる と、結局はなかったのかな、と。でも、確実にその瞬間に思い込んでるのかもしれないし。だから、きちんとその相手の事見てないけど、音を聴いてるとかそう いうんじゃない、もっと強いものってのがあったような気がするけどね。気持ちみたいなものが。音を越えて、気持ちがあって、とりあえずは特にビジョンはな いんだけど、とりあえずはNO、と言ってみて、それでも一応NO、つて言って、排除してみるっていう。そこで何が残るか、みたいな。そういう感じはしたけ どね。で、自分もそういうもんだと思ってたけどね。 だから、俺なんかやっていながら、東京ロッカーズとか、ああいう音楽がさ、音楽雑誌の記事ネタにしか なんなかったでしょ。それがすごく不満だったのね。ああいう動きに関してかろうじて興味を示したのが、こう、今動いてる人で、吉本隆明って人は、スターリ ンを聴いてるんだよね。その人ぐらいでしょ。何かそういう関係のあることとして聴いてたっていう人は。でもそれ以外はほとんどが音楽のひとつの基形みたい なものとしてしか残ってないっていうのが。 それは多分、音とか、その瞬間のもので表せるんだけど、それをうまく、こう、何て言うか、文字化できなかったっていうか。そこでは何も起きなかったっていう気はするけどね。 だけど、ともかく頭でっかちに考えることじゃなくて、今しゃべると、すごく頭でっかちな出来事みたいに思うけど、それは、突際にその場がないからね、喋っ ちゃうから。ただ、気持ちがいいってことだよね。すごくムダなものを捨て切っていて、必要なものだけあるっていうかんじが気持ちよかったっていう。かっこ 良かったしね。なにしろ。かっこがいいっていうのはすごく・・・。きたないバンドは嫌いだったから(笑)。 みんな、だから、自分自身ってのをすごく分かってるっていう感じがするんだよね。だから、ある型を着てるっていうんじゃなくて、自分はこれを着たいから着 てるっていう感じの形の良さ。それはひとりひとり、個性があるからさ、みんな同じようにスマートだっていうことじゃないんだけど、だけど、自分自身、本当 によく分かってる。それはやっぱりかっこいいと思うなぁ。 ~~それからずっと、見てらっしゃるんですよね。 H:ん、何となくね。 や、フリクションの場合には、完全にダメになるまで見ようと思ってるから。それはもう、自分が感じる感じないじゃなくて、もし、どうなるか知らないけど、 ポシャったらポシャったで、ポシャるとこまで見たいと思ってるってとこはあるよね。多分、バンドという形の中で、やっぱり、そういういろんな、こう、音だ けじゃなくってね、その、人間関係、音じゃないんだよ、音楽ってのは、特にロックバンドってのは。だから、自分とあなた、一対一の人間関係でどれだけ自分 をいつも出していけるかっていう事だから。っていうと、そういうのすごく意識化していってね、しかも、言葉だけじゃなくって、現にあの、言葉で言えてる人 はいっぱいいるんだけど、現にそう言ってる奴が会ってみたとき、形がよくてね、で、スマートにそこにいてねっていう、そういう全部のこと考えるとやっぱ り、フリクションっていうか特にレックね、レックのやってることっていうのは、一番突出している部分だと思う。だから、個人的に興味ある以上に、それが、 今のこの中で、どう闘って行くかっていうか、あるいはどこで沈んじゃうか知らないけど。つていうのを見届けるっていうのがやっぱり、すごく興味があるよ ね。ひとつの方法としてやっていくっていう。だから、あるところから、バンドやめちゃったから、一緒にはできなくなっちゃったけど、違う形では、いつも、 凄く意識してる。だから、バンドが停滞するっていうのはなんか、そういう、そういうやり方そのものが全然通用しないっていうね。そういうのは常にあったと 思う。 ~~実際、見てる方側からやる方側へなってみると、どんな感じですか?自分の好きなバンド(フリクション)に入った訳でしょう。 H:入ったんじゃないんだよ、別に。もっと、だからさ、もっとステップがあるわけ。そこまで行く前に。一番最初は、見てよかったっていうのがまずあるで しょ。スゴいって感動した。それで、あんなにときめいたのはないわけよ。いろんな動きがそれまであったとしてもさ、みんな、その場で見てるとさ、本気にな り切れない、なんかこう、本気になり切れない部分ってのが見えちゃってさ、それだったら一人でやってる方がいいっていう意味で、ひとりでやってた時期が多 いんだけど、あれだけは、本当に、こう、入り込みたいと思った初めてでさ。それで、だから、自分のできる事って言ったら、その時は、グラフィックとかしか なかったから。それを売り込もうって思ったっていうのは、小さな間違いなんだけど、要するに、何でも、何か自分が出来たら、服が縫えたら、多分服作らし てって言った思うけど、そういうなんか自分の、とりあえず持っている何かできることっていうんで、ポスター作らしてくれって言ったのね。その後、何回か後 で。それで、あ、いいよっていうことになって、作り始めたのが最初。で、その後、だから、殆どチラシとかポスターを作るってことで、付き合ってたっていう か。で、その中で、何となく知り合いになってて、そういうのがあって。だから、そんなに、抜擢されたとかね、そういう感覚と違うよね。楽器持ってるの、 やってみる?って位のもんだよ。 (中略 他のバンドやパフォーマンスをやっていた話等) H:それも、でも、結局あそこでいくつか同時に動いてたあの加速度が無かったら、多分やんなかっただろうね。その加速度がそそのかしたってとこ。 やっ ぱり多分何かその気があって興味を持って何かを察してほしいと思ったら簡単に何かできたのね。そういう余裕はすごくあったと思う。バンド自体がまだそんな にバンドっていうふうに固まったもんじゃなかったからね、やりやすい。 だけどそれって別にほんと、あの、その日だけのことじゃなくていいわけだからね。今だっていいわけだし。今だって楽しもうと思えば、楽しめるし。 ~~東京ロッカーズを今特集して、その頃の事を聞くのは自分は楽しいけれど、だけど今何かしようって、今のこれ状況で何かやりたいし、やろうと思ってい るから、過去のことを振り返るのもいいんだろうけど、(ここで、ハルナさんがテレコを持ってこっちに近付ける。) H:これをのっけた方がいいかもしんないよ。 編集者の主張ってやつを(笑)。 ~~昔の事って今から聞いてもかっこよかったんだろうなっていうのはわかるんですけど、今特集して、何になるのかなって時々思ったりもして、聞いてるぶ んには自分は楽しいからいいんですけど、それだったら、今をなんとかしたい。で、自分から、どれだけしかけていけるかなって、今それがすごい興味があっ て。でも、この時の状況と今の状況って、違うっていうと甘えかもしれないけど、やっばり多少なりとも違って、自分白身入り込めない部分っていうのがあっ て・・・。難しいですね。でも私は今をすごい大切にしたいと思うんだけど・・・。 H:ん、やっぱり、生まれた状況ってすでに差があるわけだし。その差の中で、簡単に人に声をかけたりする出来事ってのがしにくくなってるとは、いろいろ 読んだりするよね。そうならざるおえないっていう感じ。だから、多分、声をかけようと思って実際かけられるのに必要なエネルギーつてのは俺以上に今、育ち つつある人の方がたくさんいるっていう気はするけどね。思うけど、でも思った時にどれだけ出せるかだってしかないから。 ~~もう、この時代はダメだとか、よく言われたりしてるけど、そんなこと絶対ないと思うし、今のメディアももっと積極的にしかけていけば、そんな、嘆い てる暇があれば、まだ、若いんだから、行動することはできないはずないし、周りもダメだダメだって言ってるから、それに流されてるっていうのはあるような 気がするけど。一時期私もそういう時期はあったけど、そんなふうに言ってたら、何にも始まらないんじゃないかなあと思いますけど・・・。 H:そうだ!(芙)。 最終的に、だけど、今、そういうおっきな、そういうのが一番試されてるのが結局もうひとりにかえっちゃってるよね。その人が自分の中でダメだって思った ら、もうダメだし、まだいけるなって思ったら、その分いけるし、っていうことにかかっちゃってきてるよね。でもそれは、どんな状態の時もそうなんだよ、多 分。それを、みんな誰かが決めてくれるだろうと思ってるから、結局牽制してるんだよね。多分。 みんな、バンド、フリクションなんかストレス解消にされちゃってるでしょ。会社って面白くないって来て、あ-スッキリしたっていうだろ?それはとんでも ないことでさあ、ストレスを解消させたいためにやってるんしゃなくて、そういう意味ではもっとストレスをこう、濃くしてあげるためにね。 H:レックの古いインタビューとかは、バンドを通してどれだけの事をやろうとしてたかっていうのを、すごく正直に言ってると思うけどね。バンドの見えな い練習の過程の中で、君は何をやりたいんだっていうのを常にずーっと言われるしさ。それがすごい、それがフリクション。それさえ見えてれば、いいんだよ ね、バントなんか別にやっててもやんなくても。で、少なくとも、みんなそれが、自分はこれをやりたいんだっていうのが見えてる奴が何人か集まんないとそれ はそれで人数集まったことになんないでしょ、命令されてるだけじゃ。そこがバントの中としては、試されてるよね。 ~~そういうバンドってものすごいキツいと思うし、それに、そういう人達が集まるのってなかなかないことなんしゃないかなあって。 H:日本の場合、自分、じゃなくて、いつも相手にとっての自分ていう自分だからこれ知識で読んだことあるんんだけど、IとYOUって無いんだよね、翻訳 語が、ほんと言うと。外国で、いうIっていうと常に確実にこう、交わらないものとしてあるのね。日本の場合は常に、あなたにとっての私っていう、あなたか 変わっていけば、どんどん私も変わっていくわけね。っていうのを何かで読んだけど。ん、そういうのを軸に思うと、すごく良くわかり過ぎちゃって。それを、 ひとりで、自分自身のこと決めようとする、ことなのかもしれないけどね。そういう習慣か全然ないから、それがひとりになったとたんぷら-んとしてすごくヘ ヴィなんだろうね。多分外国のロックバンドはとりあえず、楽器持ってきてどんなへタなバントでも、ぱんっとステージに立った瞬間、それを仮に立った状態と すると、日本のバンドはもんのすごい訓練しても、ようやく、ステージだったら、寝たくらいの、そのくらい差があると思ってた方がいい、ロックっていう同じ ものでも。ロックは輸入品じゃない?そのぐらい違うものとしてある。だから、当然、出て来る一発目の音っていうのは強力さが違うでしょ。 |
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