2011-05-27

フリクション/1995記事:MUSIC MAGAZINE 1995年11月号

東京の近未来を生き抜いていく、そんなイメージだね、新作は モンスター・グループ、フリクションの7年ぶりスタジオ・アルバム制作を独占リポート
■ インタビュアー大鷹俊一氏、ミュージックマガジン95年11月号
■(インタビューを含めた記事より、レックの発言部分を抜粋)

ふだんからあまりレコード作りたいとかって思うことないからね。曲もそんなに作んないし。それがここ数 年、スタジオ・アルバム作りたいって雰囲気が自分の中に出てきたんだけど、でもレコーディングのことってわりとわかってるじゃん。そうすると前の編成で本 当に作るとなると大変だろうなってのがきちゃってね。今回レコーディングですんなり行けたのは、やっぱりイマイ君が入ったせいだよね。それは大きい。
ラピスとは年齢も近いし音楽とか似たようなところで生きてきた部分もあるから、いろいろわかるじゃない。それはすごく楽なんだけど、基本的にラピスの場 合、音が優しいんだよね。どんなにギューンとかやっても。俺は音出すときって、どうしても優しいだけじゃダメなんだよね。口で言うならドスッとかバキッて いう、相手を傷付けたり突き放すっていう気持ちが表われたような音が欲しいわけ。イマイ君の場合は、言ってみれば才能を感じたというか、ね。ギターのプレ イはオーソドックスだけど音楽が聞こえてきたんだよね。若い奴じゃなかなかないよ。それって。
いろいろ調べたよね。ただ最初からプロデューサーは立てるつもりだった。というのも7年前にロリとやってすごく面白かったから。で、雑誌や好きなレコードとか調べたりはしたんだけど、一番簡単に言えば面倒くさくなっちゃってさ。
それと今回は俺も全部ギター弾こうと思っていたから、それだったら東京でやった方が沢山の種類のギターを試したりできるんじゃないかと思い出してね。
3人の経験とかが同じだったら今の俺だったらセーノで録った方が良いんだけど、今のフリクションは随分経験の差があるわけで、ライヴやっててもいっぱいスピード調整とかあるからセーノで録っても逆にその方が時間を食いそうだと思ったわけ。

今回は彼(ロリ・モシマン)が録ってないじゃない。ただ、とにかく7年前のことがあるからカチッとしてくれるんじゃないかと思ってはいたけど。やり始めて エフェクトのことなんか最初はアレッと思ったよね。ライヴでもあんなにエフェクトかけることないから。でもずーっと聞いていて不自然さが全然なくなってき たからね。いまはもっとかけてもとさえ思うよ。

最初パッと聞いてそれが良いのか悪いのか判断つかないわけ。自分の声だから。でもイヤってのはきてないわけね。すごくイヤではない。そうすると俺の場合、 様子を見てみようってことになるの。そーいう場合少し時間をおかないと判断付かないんだよね。自分があまり経験したことのないことや違うことをすぐ切って イヤな気分になったこともあるわけで、だからハナから切ろうとは思わないわけ。それに自分でやってたらそういうアイデアは浮かばないし。

ロリに頼んだってのは彼のアイデアで面白いものはどんどん使って欲しいからだからね。 何度もミックスとか聞くじゃん。そこでどーしても合わないと思ったら言った。<The Heavy Cut>かなんかで、そのときははっきり違うなってのがあったから全部やめたのがあったね。それは最初聞いたときからウーンってのがあったからロリと話し たけど、彼も自分でもあと一つ良いか悪いかはっきりしなかったと言ってるし。

ロリの場合ドラマーだったことが大きいよね。俺達みたいな音楽の場合ビート、リズムが一番重要だからね。リズムって個人によって重さとか速さとか違うけ ど、ドラマーだとその人なりにあるんだよね。だからそこから出発するとやりやすいってのはある。彼は重たいドスンってドラムスを知ってるし、サトウ君はド スンってドラムスじゃないけれど、やっぱりそういうのも欲しいからね。

ロリがときどきでっかい音を出して自分の体でバランスを聞いて確かめてるのは、椅子に座って耳で調整するだけのエンジニアじゃないってことなんだよね。7年前に思ったことはそこだよね。耳だけじゃなく身体で調整するところ。

ミックスしてるときに、アレッ、これライヴでどーしようかなって思ったことあったよね。こんなに変っちゃってって。でも聞いてるとこれはこれって感じで、 再現するためにこういうエフェクターを使ってとかは思わない。自分で聞いてると自分の声がほんとにこんな感じになっちゃってるような気がしてくるんだよ ね。

ロリは日本語で言えば丸くなった気はするよね。ただ別の言い方をすれば、誰でもいいってのはあるよね。音楽をわかって共有できれば。俺の場合、一緒にやったって感覚が好きなんで、確かに出来は問題だけど、過程が大事なんだ。その感覚が持てたんだよね。

確かに『Replicant Walk』からイメージはつながり過ぎちゃってるかもしれないね。"ゾーントリッパー"って言葉自体は『ハード・ウェア』って近未来ものの映画を見たとき に出てきたんだ。映画と歌の内容は全然違うけど、ゾーンってのは自分の内にも外にもあって、そこでいろんなものを見つけていく感じ。いろんな所を通り抜け て生き抜いていくってイメージで、多少『Replicant…』よりは前に行かなけりゃって感じはあるかもしれないな。『Replicant…』ぐらいか ら思うけど、近未来ってよく言うけど東京自体が近未来で、そこに自分がうごめいてるってイメージを持ってないと疲れるんだよね。その中で自分が行くとこ ろ、戻る場所を想定しておかないと。そうしないと一緒くたになって流されてわけがわかんなくなってしまうから、自分が東京って都市の中で動いているという 設定をしてイメージするのね。だからそういうタイトルに惹かれるのかもしれない。じゃないと、どうやって生き抜いていくのか見つからない感じがしちゃって さ。

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